ひどい映画の途中で、もう結末はわかっています。でも席を立つ代わりに、こう計算してしまいます。チケット代を払った、ここまで車で来た、もう1時間も座っていた。だから最後まで観る。面白くなるからではなく、ここで出たら全部が無駄になると感じるからです。
これがサンクコストの誤謬(sunk cost fallacy)です。これから得られるものではなく、すでに費やしたものを理由に続けてしまうことです。
なぜ脳はこの罠にはまるのか
ある有名なフィールド実験で、研究者たちは劇場のシーズンチケットを定価またはランダムに割り当てた割引価格で販売しました。定価で購入した人は、明らかに多くの公演に足を運びました。同じ席、同じ演目です。投資そのものが、行く理由になっていたのです。
これは知性の問題ではありません。人間の脳は、利益の約2倍の強度で損失を処理します。これは損失回避(loss aversion)と呼ばれるパターンです。やめるという行為は、投資がもう戻ってこないことを認めることを意味します。オックスフォード大学の脳画像研究では、腹内側前頭前皮質(ventromedial prefrontal cortex)——「これはまだ続ける価値がある?」と評価する脳の部分——が、投資額が大きいほど活動が低下することがわかりました。深くはまればはまるほど、そのシグナルは静かになっていくのです。
あなたをそこに留めているのは、冷静な論理ではありません。4つの対照実験のシリーズで、サンクコスト効果は合理的な計算ではなく、ネガティブな感情(罪悪感、後悔、もったいないという感覚)によって引き起こされていることがわかりました。参加者が自分の選択を意識的に振り返ったとき、感情の引力は弱まり、判断の質が向上しました。
この罠を乗り越える方法
- ゼロからのスタートテストをしてみましょう。 今日ゼロから始めるとしたら、もう一度これを選びますか?答えがノーなら、昨日費やしたものは明日さらに費やす理由にはなりません。
- 投資ではなく、感情に名前をつけましょう。 もしやめたら何を感じるか考えてみてください。罪悪感、もったいなさ、恥ずかしさ。決断を動かしている感情が見えた瞬間、その力は少し弱まります。
- 見直しの日を決めましょう。 再評価する具体的な日付を選んでください。チェックポイントを設けると、「やめる」が「決める」に変わります。そのほうが脳にとって受け入れやすいのです。